ネコ科の系統分岐

最新のDNA解析技術で猫の起源が判明

猫の起源では、ミアキスからプセウダエルルス(シェーダエルルス)まで、初期の猫の進化を見てきました。このあとネコ科が登場し、8系統37種に分かれていきます。

元々、骨や化石の調査で分類していたのですが、近年のDNA解析技術によりネコ科動物の系統樹が細かいところまで明確になりました。

例えば、「ガウォー」と吠える大型のネコ科のライオンやトラ、ヒョウは舌骨(舌を支える首の骨)が完全に骨化していないため吠えることができ、中型のウンピョウやボルネオウンピョウは首の骨の構造がやや異なるので吠えることができず、これにより系統は同じでも種を別に分けていたのですが、遺伝子の塩基配列で系統は同じだが種は異なる、という従来からの分析は正しいことが証明されています。

約1,100万年前に現生ネコの祖先が誕生

そして、現生ネコの祖先に関してですが、多くの研究者は化石調査で2,000~900万年前のヨーロッパに生息していたプセウダエルルス(Pseudaelurus)がネコ科動物に共通する直近の祖先だと考えてきたのですが、分子遺伝学的調査によれば、すべての現生ネコの祖先が約1,100万年前のアジアに生息していたプセウダエルルスの仲間のいずれかであることが分かりました。

この謎のアジアの猫から、約1,080万年前に最初に分岐したのはヒョウ系統、それから約140万年後に2番目のグループがアジアで分岐、続いてアフリカへ渡ったカラカル系統が出現しています。

初めて大陸間移動を遂げたのですが、この海面は現在よりも60m低く、アフリカ大陸とアラビア半島は紅海の両端が地峡でつながっていました。

ネコ科系統が次々に分岐

800万年前の北アメリカではオセロット系統、720万年前にはオオヤマネコ系統が生まれました。

670万年前にはピューマ系統が誕生、この中のチーターは、ベーリング海峡を越えアメリカ大陸からアジアへ移動したもの(のちの大量絶滅を回避できた)もいました。

620万年前にはベンガルヤマネコ系統、340万年前にはイエネコ系統が分かれ、こちらもベーリング海峡を渡ってアジアへ行きました。

300~200万年前は氷河期となり海面がさらに下降、パナマ地峡を渡って南アメリカへ渡ると、現在でも生息する7つの種(ジョフロイネコ、ジャガランディ、コドコド、マーゲイ、オセロット、タイガーキャット、パンパスキャット)が生まれています。

氷河期終了で一波乱

約1万2000年前、最後の氷河期が終わりました。

すると、大量の氷河が解けたことで大規模な洪水が発生、北アメリカに生息していた大型動物の75%が絶滅した「更新世の絶滅」が起き、マンモスやマストドン、サーベルタイガーなどが姿を消しました。

この時、アジアやアフリカへ渡っていたチーターと、南アメリカに避難していたピューマは絶滅を逃れ、何世代もあと再び北アメリカへ戻っています。

ネコ科動物の系統樹


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