(Vassil [CC BY-SA 4.0], ウィキメディア・コモンズ経由)
イエネコの祖先はリビアヤマネコ
2000年代の初め、ネコの共通の祖先を突き止める研究が行われた。オックスフォード大学の博士課程で学んでいた大学院生のカルロス・ドリスコル(Carlos A.Driscoll)は、ユーラシアとアフリカにすむ979匹のヤマネコとイエネコからDNAを集めて知らb、どのヤマネコの亜種からイエネコが生まれたのかを突き止めました。
この地域には、リビアヤマネコ、チョウセンアジアヤマネコ、ミナミアフリカヤマネコ、ヨーロッパヤマネコ、ハイイロネコが生息していて、どの種もイエネコの祖先となりうるものでした。
過去においては、イエネコはいくつかの種との混血だという意見が主流だったのですが、DNA分析してみると、イエネコの祖先はすべて中東のヤマネコであるリビアヤマネコの1種であることが判明したのです。
逆に言えば、人類はリビアヤマネコしか飼いならすことができなかった、ということを表しています。
例えばヨーロッパヤマネコの場合、人間になつくことは一切なく常に獰猛、赤ちゃん猫から育てて何世代重ねても、狂暴なままとのこと。
イエネコの登場
このリビアヤマネコをもとにした猫の家畜化は、8,000~1万年前に肥沃な三日月地帯で進められました。
ペルシア湾からチグリス川・ユーフラテス川を遡り、シリアを経てパレスチナ、エジプトへと到る半円形の肥沃な三日月地帯の人々が、定住生活をし農業を始めたころになります。
初期の農業では小麦や大麦が栽培されていたのですが、穀物貯蔵庫にネズミが出てくるようになり、そこへヤマネコがネズミ目当てにやってきました。
そして、ネズミを追い払う見張り番として人間が次第に飼いならしていったと考えられています。